嚥下の画像評価は,嚥下造影検査と嚥下内視鏡検査が標準的検査法として広く有効に用いられている.近年開発された320列面検出器型CT(320-ADCT)は,世界初の嚥下運動の立体的・動的画像化・解析を可能とし,嚥下臨床・研究にあらたな可能性を広げた.3次元化による優位性は,嚥下中に生じる種々の事象を同時に制限なく観察できることで,これまで不可能であった声帯の動態計測,食道入口部開大面積計測,咽頭体積計測など様々な定量評価を実現したことにある.これらの定量評価をもとに,誤嚥を予防する運動調整機構や咽頭残留のメカニズムについての新しい見解が得られている.嚥下CTと称され,臨床応用がすすめられ,嚥下リハビリの新戦略となっている.