口腔・咽頭科
Online ISSN : 1884-4316
Print ISSN : 0917-5105
ISSN-L : 0917-5105
総説
成人OSAにおいてCPAPは本当に第一選択なのか?:Cons. CPAPは成人治療の第一選択ではない
北村 拓朗鈴木 秀明
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 31 巻 1 号 p. 27-31

詳細
抄録

CPAPはOSAに対する「フリーサイズ」な治療法として広く普及している.CPAPが一旦処方されると患者は半永久的な毎晩のマスク装着と定期的な通院というライフスタイルの変容を余儀なくされ,また医療者側もCPAP治療開始後のアドヒアランスや患者の状況を詳細に把握し,きめ細やかな対応・指導を継続していく必要がある.よって安易なCPAP処方を行う前に,個々の病態生理に基づいてその他の治療の適応について十分検討することが重要であり,CPAPは必ずしも成人OSAの第一選択とはいえない.近年,OSAにおける睡眠中の上気道の開存性は解剖学的要因のみでなく,呼吸中枢不安定性,咽頭筋反応性,および覚醒閾値の4つの要因の相互関係により決定されるという考え方が主流となりつつあり,個別化医療への応用が期待されている.約30%のOSA患者が解剖学的要因単独で,残りの70%が解剖学的要因とその他の要因が複合してOSAを生じていると報告されていることから,OSAの個別化治療,適正治療においてはいかに上気道の形態異常を改善させるかが鍵であり,外科的治療や口腔内装置の適応について常に念頭におく必要がある.睡眠外科の役割を明確にするために,本邦における閉塞部位診断や外科的治療に関するガイドラインが耳鼻咽喉科や口腔外科主導で作成されることが望まれる.

著者関連情報
© 2018 日本口腔・咽頭科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top