口腔・咽頭科
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総説
OSAに対する舌根部手術
北村 剛一
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2019 年 32 巻 2 号 p. 73-79

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抄録

成人の閉塞性睡眠時無呼吸症(obstructive sleep apnea: OSA)の閉塞部位は,軟口蓋部(口蓋扁桃も含む)が最も多いが,舌根部が閉塞している症例にも遭遇する.また,閉塞部位は1部位とは限らず複数が閉塞している場合も珍しくはない.本邦では,軟口蓋部の閉塞に対する口蓋垂軟口蓋咽頭形成術がよく行われているが,舌根部の閉塞に対する手術の報告は少ない.舌根部手術には,舌扁桃切除術などの軟部組織に対する術式とGenioglossus Advancement(GA)などの硬組織に対する術式があるが,今後,Trans Oral Robotic Surgery(TORS)やHypoglossal Nerve Stimulation(HNS)などの新たな選択肢が増える可能性もあり,上気道評価のスペシャリストの耳鼻咽喉科医の確実な閉塞部位診断が手術成功の鍵を握っていると言っても過言ではない.舌根部手術を行う際は,十分な視野の確保と術中および術後の合併症に対する備え,そして周術期管理が重要である.

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© 2019 日本口腔・咽頭科学会
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