2021 年 34 巻 1 号 p. 131-135
顆粒細胞腫は皮膚や舌を好発部位とし,全身に発生するシュワン細胞由来の良性腫瘍である.症例数が少なく,いまだ治療方法に関する統一した見解はない.今回,右顎下部に発生した顆粒細胞腫例を経験したため報告する.症例は41歳女性.右顎下部に弾性硬の腫瘤を認めた.CTでは右顎下部に広頸筋に沿って紡錘状の腫瘤形成を認め,腫瘍全摘出術を行った.術後の病理組織検査により顆粒細胞腫と診断された.術後のCTでは遺残を認めず,経過観察を継続している.治療経過や術中所見について文献的考察を加えて報告する.