2022 年 35 巻 1 号 p. 15-20
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が新型コロナウイルス感染症患者を想定した気管切開対応ガイドを提言した.エアロゾル発生を予防するために気管切開の手順変更が必要で,麻酔科を含めた医療チーム内で手順を共有する必要がある.我々はCOVID-19の気管切開術を安全に対応すべく,日頃から対応ガイドに準拠した手順で気管切開を行うこととした.2020年4月から12月までの気管切開術の術者と助手を対象に,手順変更の意義を検証するためにアンケート調査を行った.手順変更は術者の心理的ストレスを増加させ,手術時間を有意に延長していたが,医療チームの理解は得られており,耳鼻咽喉科医も手順変更には意義があると考えた.