口腔・咽頭科
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ヒト上咽頭の組織学的検討
ナチュラルキラー細胞の分布について
永井 浩巳高橋 廣臣八尾 和雄稲木 勝英中山 明仁馬越 智浩岡本 牧人
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2001 年 13 巻 2 号 p. 229-235

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抄録
ナチュラルキラー (NK) 細胞は, Bリンパ球やTリンパ球と異なる細胞で, 第3のリンパ球と考えられている.ある種の腫瘍細胞やウイルス感染細胞に対して, 獲得免疫が誘導される前におこる防御機能を示す.今回, 我々は, NK細胞の分布を把握し, 上咽頭の免疫応答について検討した.
検討対象は, 剖検のヒト上咽頭を用いた.一次抗体はCD16, CD20, CD4とCD8で検討した.NK細胞は, 上咽頭の部位 (後上壁, 側壁と下壁) にかかわらず, 決しておおくはないがいずれにも存在することがわかった.また, 粘膜上皮へのリンパ上皮共生していたNK細胞は, 線毛上皮層内や扁平上皮層内よりも, 移行上皮層内に多く認められた.
上咽頭のNK細胞は, 各部位の粘膜上皮, 粘膜直下に存在することで, 粘膜局所の自然免疫に関与し, この働きが感染の第一門戸である上咽頭にとって欠かせない機能であると思われる.
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© 日本口腔・咽頭科学会
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