口腔・咽頭科
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鼓索神経切断後の舌の茸状乳頭分布の検討
矢野 陽子石田 雄介村上 信五
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2005 年 17 巻 3 号 p. 339-344

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抄録

鼓索神経切断後に続発する味覚障害やその回復の機構には不明な点が多い.本報告では鼓索神経を切断された中耳術後症例の茸状乳頭分布について検討を行った.対象は術後数年~約40年経過した15症例で全例片側のみ手術が施行されている.舌尖における茸状乳頭の分布は, 1.切断側はすべて萎縮・消失, 2.舌正中から切断側へ1cm以内に存在, 3.舌正中から切断側へ2cmを越えて存在の3パターンが示唆された.いっぽう舌体ではすべての症例で正中を越える茸状乳頭は観察されなかった.以上より交叉支配または健側からの神経の再支配は舌尖が中心であること, さらにそれらは2cmを越えて生じる例が存在することが示唆された.

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