口腔・咽頭科
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頭部外傷後味覚嗅覚障害6症例の検討
任 智美梅本 匡則根来 篤美内 慎也阪上 雅史
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2007 年 19 巻 3 号 p. 293-300

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抄録

頭部外傷は救命が優先されるため, 味覚嗅覚障害に関して配慮がなされないことが多い. また報告も少なく, 十分に解明されていない分野である. 今回, 当科を受診した外傷後味覚嗅覚障害6例について, 臨床像, 検査結果, 治療経過を検討した. 外傷後味覚嗅覚同時障害患者6例に嗅覚, 味覚検査, 採血, 性格検査, 頭部MRIを施行した. MRIでは4例に前頭葉, 2例に側頭葉に所見がみられた. 嗅覚味覚検査では検知と比較して認知の結果が悪い傾向にあり, 外傷による嗅覚味覚神経伝達系の直接損傷だけでなく, 中枢性も原因として考えられた. 今後, 外傷後味覚嗅覚障害の病態を解明するのにさらに多くの症例を検討する必要があると思われた.

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