口腔・咽頭科
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口蓋扁桃に転移した悪性線維性組織球症の1例
朝日 淳仁大島 收藤田 豪紀原渕 保明
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2007 年 19 巻 3 号 p. 379-384

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抄録

扁桃の転移性腫瘍は稀である. 我々は右口蓋扁桃に転移した悪性線維性組織球症を経験したので報告した.
症例は64歳男性. 右縦隔の悪性線維性組織球症で当院呼吸器内科にて放射線照射後, 化学療法中であった. 口腔内の腫瘤, 口腔内よりの出血を主訴に当科紹介となった. 腫瘤は右口蓋扁桃上極に存在し, 易出血性で茎を有していた. 同日, 局所麻酔下にコアグレーターで茎の部分を焼却し摘出した. 病理検査にて黄色肉芽腫型の悪性線維性組織球症の診断であった.
扁桃には輸入リンパ管が存在せず, 組織学的には細網内皮系細胞が主体であり, 腫瘍排除能力があるため転移性の腫瘍は極めて稀であるといわれている. 扁桃の転移性腫瘍は肺癌, 肝癌, 胃癌が多く, 渉猟し得る限りでは悪性線維性組織球症の報告例は認められなかった. 扁桃への転移形式として, 本症例では, 血行性が考えられた.

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