1992 年 4 巻 2 号 p. 127-134
われわれは難治性口腔内病変を呈した2症例を経験したので報告する.
症例1は61歳女性.歯肉出血と1カ月におよぶ嗅声を主訴に来院した.病理組織所見と蛍光抗体法にて水疱性類天疱瘡と診断された.副腎皮質ホルモン, パルス療法, DDS, アザチオプリン, 金製剤などを治療として用いたが, 症状は軽度改善を示したのみであった.
症例2は38歳女性であり重度の口内炎にて入院した.病理組織所見と蛍光抗体法にて尋常性天疱瘡と診断された.治療はアザチオプリンをのぞき, 症例1とほぼ同様に行ったが症状の改善が芳しくなかった.そのため, シクロスポリンの内服と血漿交換療法を加えた.この後症状は大きく改善された.3カ月経過観察しているが, 再発はみられていない.