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住宅地における人工物を利用したハッカチョウの集団営巣
三科 康人大竹 明金 清翔三科 美香今西 貞夫
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2011 年 27 巻 p. 31-40

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抄録
神奈川県横浜市の住宅地内にある擁壁の水抜き穴に集団で繁殖していたハッカチョウの調査を行った.擁壁の266 穴の内,5 月には42 穴で繁殖を確認し、この内18 穴では7〜8 月にも繁殖を確認した.繁殖に使われた穴の奥には巣を造る空隙があったが,使用されなかった穴の奥にはなかった.親鳥は食物として穴に甲虫類,バッタ類,セミ類などの昆虫,ミミズ類を運び,昆虫の割合は90%以上と大部分を占めた.親が連れていた巣立ち雛は2 羽以下であった.住宅地内の人通りのある場所にある,水抜き穴のある擁壁は,捕食者による捕食を避けられ,人が巣穴に容易に近づけないことから,ハッカチョウにとってよい繁殖場所であると考えられる.
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© 2011 公益財団法人 日本野鳥の会
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