抄録
日本全国の森林を対象としたモニタリング調査で得られた繁殖期の鳥種の在不在情報に基づき鳥類種間の類似度(φ係数)を算出したところ,高い類似度の種の組み合せの4グループ(A, B, C, D)が見いだされた.A の構成種と,B あるいはC の構成種の間のφ係数は負であり,同所的に観察されにくいことが分かった.D の2種は,むしろ草地性の種であった.多次元尺度法による座標づけの結果は,数年のレベルでの鳥類群集の安定性を示唆していた.今後も同様の分析を続けることで,日本の森林の鳥類群集に起こる種構成の変化を捉えることができるだろう.