水利科学
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「後世に伝えるべき治山」60選シリーズ
伊那谷を襲った梅雨豪雨災害(三六災害)山腹崩壊地復旧
野田 和浩
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2018 年 62 巻 3 号 p. 108-117

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抄録

長野県南部に位置する伊那谷は,3,000m 級の赤石山脈(南アルプス)と木曽山脈(中央アルプス)に挟まれ,その間を天竜川に沿って南北に伸びる盆地で,中央構造線の西側に位置している。 昭和36年(1961年)6月下旬,天竜川上流の伊那谷を中心に,梅雨前線豪雨災害,当地においては「三六災害」と呼ばれる大災害が発生し,死者・行方不明者139名,負傷者999名,家屋全壊585戸,半壊約912戸等,総被害額が300億円ともいわれる被害がもたらされた。 この甚大な被害に対し,長野県や地元からの強い復旧要請により,昭和37年から中川地区民有林直轄治山事業が行われ,新たな工種・工法を積極的に採用し,積極的な復旧工事を進めたことにより,災害当時の荒廃地は姿を消し,緑豊かな森林へと更生している。

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© 2018 一般社団法人 日本治山治水協会
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