水利科学
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特集:平成29年7月九州北部豪雨と流木災害
平成29年7月九州北部豪雨災害と流木の特徴
久保田 哲也
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2019 年 62 巻 6 号 p. 10-22

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抄録

平成29年(2017年)7月に発生した九州北部豪雨災害では,過去に類を見ない豪雨により多量の流木を含む洪水と土砂災害が生じた。この豪雨では,福岡県朝倉市・東峰村,大分県日田市を中心に山地に膨大な数の森林斜面崩壊が発生した。また,その後の台風などでも森林斜面崩壊の拡大や洪水も発生している。これらの地域は,林業が盛んで,山地の広範な部分がスギを主体とした人工林を構成し,斜面傾斜は平均的に大きく,地質も片岩・花崗岩類など脆弱なものから成る。このような地域に,戦後の拡大造林による伐期に達したスギ・ヒノキの大木が立地し,崩壊などで生じた大量の流木が下流河川に流入,大洪水の強い水流により平地まで運ばれて被害を大きくした。一部では砂防堰堤など防災施設の効果も認められたが,今後の課題も多い。そこで,ここでは現地調査とデータ解析に基づき,多量の流木とその発生源の特性について報告する。

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© 2019 一般社団法人 日本治山治水協会
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