水利科学
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一般論文
CSG 工法による堤防づくり
松浦 茂樹
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2019 年 63 巻 5 号 p. 17-27

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抄録

CSG(Cemented Sand and Gravel)とは,「手近に得られる風化岩,段丘堆積物,河床砂礫等の岩石系材料にセメントと水を加え混合したもの」である。 これを用いて構造物を造る工法がCSG 工法である。この工法はダム技術から生まれた。台形CSG ダムとして,北海道当別ダムなどが近年,竣工している。さらに,この工法が防潮堤に用いられている。東北地方太平洋沖地震による津波被害の復旧として福島県の夏井海岸などで使用され,現在,浜松市沿岸域防潮堤を築造中である。ここでは,CSG をアンコにして,その横を盛土し,景観に配慮して樹木を植え緑化する。 現地にある材料を処理せずそのまま利用するので,費用は高くない。またセメントを使用しているので剛性があり,越流に対しても強い。この工法を河川堤防に利用することを提案する。河川堤防の今日の課題は,堤防を越える洪水に襲われても壊れない「粘り強い」構造物の築造である。河原に大量の礫・石のある河道では,材料は容易に得られる。このような河川では,その条件は十分備えている。

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© 2019 一般社団法人 日本治山治水協会
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