水利科学
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特集:平成30年7月豪雨災害Ⅱ
平成30年7月豪雨における避難行動
作間 敦河井 大介
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2020 年 64 巻 2 号 p. 60-75

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抄録

平成30(2018)年7月豪雨では甚大な被害が発生し,非常に多くの犠牲者が出た。そこで,この豪雨災害時の人々の行動等を明らかにすることにより今後に防災行動に活かすために,避難指示または避難勧告が発令された愛媛県,岡山県,広島県の市区町村に住む人を対象にアンケート調査を実施した。 今回の豪雨災害では,非常に広い範囲で避難指示や避難勧告などの避難情報が発令されている。しかし,実際に被害を受けた人は調査協力者の10.9%と低く,安全確保行動をしたにもかかわらず被害を受けなかった人が今後安全確保行動をとらない,いわゆるオオカミ少年効果が懸念される。しかし,分析の結果,明確なオオカミ少年効果はみられなかった。 また,昨今の豪雨災害の特徴として高齢者の被災があり,その傾向を分析した結果,高齢者ほど避難せず,高齢者は大雨洪水警報などの情報への反応も鈍く,また避難を考えることすらしていない傾向が示された。

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© 2020 一般社団法人 日本治山治水協会
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