抄録
ヒト膵腺房周囲筋線維芽細胞 (pancreatic periacinar myofibroblasts, PMFs) からの造血コロニー刺激因子 (colony-stimulating factor, CSF) の産生誘導について検討した. 顆粒球 (G) -CSFと顆粒球/マクロファージ (GM) -CSFのmRNA発現, 蛋白産生は非刺激下では認められず, インターロイキン (IL) -1βと腫瘍壊死因子 (TNF) -αの刺激により誘導された. IL-1βとTNF-αの相乗効果が認められた. 一方, マクロファージ (M) -CSFの産生は非刺激下でも認められ, IL-1βとTNF-αにより増強された. 転写因子NF-κBの活性化を阻害するIκBαの安定化体IκBΔNの強制発現により, IL-1βとTNF-αによるCSF誘導作用が有意に抑制された. PMFsはCSFsの産生を介して急性膵炎や慢性膵炎の病態形成へ関与している可能性が示唆される.