膵臓
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〔特別企画〕第36回日本膵臓学会大会 会長講演
内視鏡的膵管造影と膵疾患
大井 至
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2006 年 21 巻 1 号 p. 1-12

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抄録
内視鏡的膵・胆管造影は,1968年まだ日の浅いファイバースコープで専用の十二指腸内視鏡を開発することから始まった.この十二指腸乳頭部へのアプローチを目的とした内視鏡は,レンズ面と鉗子孔を並列させて先端硬性部を短くした側視鏡で,十分な長さを持つアングル付のファイバースコープ(FDS-Lb)である.内視鏡的膵管造影は,手製のカテーテルを用いて1969年5月18日に世界で初めて成功した.その後,選択的胆管造影も成功しUS・CTが使用されるようになるまで唯一の膵管系の検査法として評価されてきた.
各膵疾患に見られる膵管像の病理組織学的成り立ちを,膵管像と組織像を厳密に一対一に対応させて検討してきた.慢性膵炎に関しては,膵管系の通過障害がその支配する上流膵に,膵に掛かる負荷と共に大きな影響を与えることを知った.膵管系の障害による限定した膵障害を強調するために上流膵炎という概念を導入した.
現在でも,FDS-Lbと同じ先端構造を持つ内視鏡とその手技が,膵・胆疾患の診断・治療に広く用いられている.
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© 2006 日本膵臓学会
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