膵臓
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総説
膵の重炭酸イオン分泌障害と膵嚢胞線維症/慢性膵炎
石黒 洋成瀬 達近藤 孝晴山本 明子
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2006 年 21 巻 1 号 p. 13-25

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抄録
膵液中のHCO3と水は,膵管の上皮細胞(導管細胞)から分泌される.HCO3の輸送機構は,管腔内の陰イオン組成と導管系の部位により異なるが,cystic fibrosis transmembrane conductance regulator(CFTR)Cl channelに依存する.膵嚢胞線維症(CF)と一部の慢性膵炎では,CFTRの機能低下によりHCO3と水の分泌が不足し,腺房細胞から分泌される消化酵素液を希釈/アルカリ化することができないため,膵液が粘稠になりタンパク栓が形成されやすくなる.特発性慢性膵炎(ICP)は,CFTR機能が5~50%残存するCFTR変異のcompound heterozygoteに発症しやすい.最近,Caucasianではmildな変異を有するCF carrier,日本人では多型の組み合わせによるCFTR機能低下がICPのriskになることがわかった.
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© 2006 日本膵臓学会
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