抄録
症例は57歳男性.1993年9月膵頭部領域の膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)に対して幽門輪温存膵頭十二指腸切除術,膵胃吻合・陥入法による再建(PPPD-IV B-2)が施行されている.病理診断はpapillary adenomaであった.2004年11月上腹部痛,背部痛,発熱,四肢浮腫があり前医へ入院.腹部CTにて膵胃吻合部を中心に胃後壁の肥厚と残膵の主膵管拡張を認めた.上部消化管内視鏡検査では膵胃吻合部から幽門前庭部にかけてBorrmann 1型腫瘍がみられ,生検にて中分化型腺癌が検出された.膵胃吻合部に発生した胃癌と診断し,手術を施行した.幽門側胃切除,残膵部分切除,腫瘍の浸潤がみられた横行結腸を楔状切除し,Whipple法にて再建を行った.病理組織学的診断は膵臓原発の中分化型管状腺癌であった.IPMN手術後は,残膵における発癌の可能性を念頭においた慎重な経過観察が必要である.