膵臓
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特集:膵癌化学療法の最前線
切除不能進行膵癌に対するGemcitabine治療の有用性
川口 義明峯 徹哉
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2007 年 22 巻 1 号 p. 57-64

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抄録

【目的・方法】切除不能進行膵癌121例(局所進行群65例,遠隔転移群56例)について検討した.Gemcitabine(GEM)単独治療を行った73例の生命予後を,無治療群40例,GEM+放射線併用群8例の成績と比較した.【結果】GEM治療群の奏功率は19.7%,生存期間中央値,1年生存率,2年生存率は,326日,37.4%,17.6%であった.GEM単独群は,無治療群と比べ,有意に予後の改善を認め(p<0.0001),進行度別の検討でも,局所進行群,遠隔転移群ともにGEM単独群は,無治療群と比べ,有意に予後の改善を認めた(p<0.0001).またGEM単独群の中で,局所進行群と遠隔転移群とを比較すると,局所進行群は有意に予後が良好であった(p<0.0001).GEM単独群とGEM+放射線併用群との比較では,症例数は少ないが,有意にGEM+放射線併用群で生存期間が延長する結果であった(p<0.0001).【結論】切除不能進行膵癌に対するGEM治療は,生命予後の改善に寄与しているものの予後不良である.

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© 2007 日本膵臓学会
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