膵臓
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特集:長期予後からみた慢性膵炎の治療-内科vs.外科
社会的要因からみた慢性膵炎に対する内視鏡治療の限界
廣田 衛久朝倉 徹菅野 敦佐藤 賢一正宗 淳菊田 和宏粂 潔濱田 晋海野 純高木 康彦渡辺 崇伊藤 広通下瀬川 徹
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2009 年 24 巻 1 号 p. 79-83

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抄録

慢性石灰化膵炎に対する膵管ステントを用いた内視鏡治療の限界を検討するために,内科的治療を行いあるいは継続し1年以上経過観察した内科的治療群30症例と,外科的治療を行い1年以上経過観察した外科的治療群17症例を社会的要因に注目して比較した.治療後の膵炎再発など入院が必要なイベントの発生率は両群間で差を認めなかったが,入院回数,日数は有意に内科的治療群が多かった.総入院費は両群間で有意な差が無かった.次に,膵管ステント総留置期間で内科的治療群を1年未満17症例と1年以上13症例の2群に分けて,外科治療群とそれぞれ比較した.1年未満群は,イベント発生率は外科的治療群の約半数であったが,入院回数,日数,総入院費では外科的治療群と差を認めなかった.1年以上群では検討した項目全てで外科治療群に劣っていた.膵管ステントを1年以上長期間継続して留置することは社会的見地より患者の利益とはならない.

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© 2009 日本膵臓学会
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