膵臓
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原著
実地臨床における急性膵炎改訂重症度判定基準の検討
横江 正道真弓 俊彦林 克巳
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2009 年 24 巻 2 号 p. 140-146

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抄録

急性膵炎の予後改善により,いわゆる難病としての重症急性膵炎の位置づけも公費負担の面からも見直しが必要となり2008年に新しい重症度判定基準が採用されることになった.改訂基準では中等症がなくなり造影CTのみでも重症判定できるなどの変化に合わせて,使用する側の理解が求められる状況にある.われわれは過去の自験例にこの改訂基準を当てはめて現基準との比較などを行い検討した.改訂基準では82.9%が軽症と判断され大幅に軽症例が増え,重症例が減少する.またわれわれが作成した換算式(改訂基準スコア=0.418313+0.332155×現基準スコア)では,重症と判定される改訂基準スコア3点は現基準の7.8点に相当することがわかった.改訂基準3点以上での致命率は14.3%であり,重症と判定された場合には重症急性膵炎に対応できる施設への転送などを速やかに考慮せねばならない.一方,改訂基準で軽症例であっても予後不良となる可能性があり,軽症であっても厳重な対応が求められる.

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© 2009 日本膵臓学会
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