膵臓
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総説
自己免疫性膵炎の病理―日本と欧米との違い―
能登原 憲司
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キーワード: 自己免疫性膵炎, 病理, IgG4
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2009 年 24 巻 4 号 p. 479-484

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抄録

自己免疫性膵炎(AIP)の臨床病理像は,本邦と欧米で異なることが指摘されている.本邦では,病理学的にlymphoplasmacytic sclerosing pancreatitis(LPSP)と呼ばれる病変がAIPと報告され,AIP/LPSPが臨床病理学的概念として確立されてきた.さらに今日では,LPSPはIgG4の異常を有することが明らかになり,IgG4関連硬化性疾患の膵病変と位置づけられている.一方欧米にはLPSPに加えて,idiopathic duct-centric chronic pancreatitisやAIP with granulocytic epithelial lesionと呼ばれる,本邦ではまれな病変が存在し,多くの報告でAIPに含められてきた.このことが,本邦と欧米の間でAIPの臨床病理像の違いを生む原因になったと考えられる.

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© 2009 日本膵臓学会
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