抄録
近年,セクレチン試験や便中キモトリプシン活性の測定が施行できないことや,US,CT,MRI,EUSなどの画像診断機器の精度の向上により,慢性膵炎の診断において画像診断の果たす役割が増しつつある.そのため,今回の慢性膵炎臨床診断基準は,画像所見をより重要視したものとなった.一方,「特徴的な画像所見」の確診所見が一つでも得られた場合,それのみで「慢性膵炎確診」と診断することができるため,その所見はより特異性が高くなる厳しいものに設定されている.また,最近ERCPに代わり施行される機会が増加したMRCPと膵管や膵実質の軽微な変化を捉えることが可能であるEUSの所見を積極的に取り入れた内容となっている.今後,多くの施設で多数例において検討を重ね,臨床診断基準としての有用性が確認されることが望まれる.