膵臓
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特集:膵臓・膵島移植の現況と最新の研究
膵臓移植手術手技の進歩
杉谷 篤
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2011 年 26 巻 2 号 p. 132-141

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抄録
膵臓移植あるいは膵腎同時移植は本邦でも増加している.特に,2010年7月の臓器移植法改正後,脳死ドナーからの膵臓提供が増えて多くの認定施設で施行されるようになってきた.本稿では,最近の膵臓移植の手術手技について,脳死ドナーと心停止ドナーからの膵臓摘出術,移植施設におけるBench surgery,レシピエントに対する膵単独移植あるいは膵腎同時移植の手術手技を述べる.
膵臓摘出もふくめたドナーの多臓器摘出手術は,血管内潅流(Core cooling)とともに表面冷却(Surface cooling)を併用するSuper rapid techniqueが臓器のViabilityを保ち,脳死でも心停止でも対応でき,簡便・安全な方法である.小腸や肝臓に血管を優先的に供与するので,膵頭部と膵体尾部の血流を保持し1本化するためのBench surgeryが必要となる.レシピエント手術は右腸骨窩の腹腔内で腸骨動静脈に端側吻合し,膵液ドレナージを腸管か膀胱に行うことが多い.膵腎同時移植の場合は,対側の腹膜外腔に腎移植を行う.本稿では,日本の膵臓移植が医学的・社会的状況に応じて進化・変遷し,現時点でもっとも妥当と思われる手術手技を概説した.
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© 2011 日本膵臓学会
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