膵臓
Online ISSN : 1881-2805
Print ISSN : 0913-0071
ISSN-L : 0913-0071
症例報告
腹臥位での脊椎手術後に重症急性膵炎を発症した一例
浦上 淳平林 葉子富山 恭行河瀬 智哉吉田 浩司岡 保夫平井 敏弘角田 司
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 27 巻 1 号 p. 38-44

詳細
抄録

症例は76歳女性で糖尿病,慢性膵炎の既往がある.第12胸椎の圧迫骨折のため脊椎短縮術,後方固定,後側方固定術を施行された.腹臥位で,手術時間6時間20分であった.麻酔覚醒後から腹痛が出現し,術後1日目も腹痛は強く,膵酵素,WBC,CRPの上昇を認め,予後因子スコア5点で重症急性膵炎と診断.造影CTでは膵頭部の腫大および膵頭部内の造影不良域を認め,右腎下極以遠までの滲出液貯留を認めたため,造影CT grade 2と診断.蛋白分解酵素阻害薬・抗菌薬膵局所動注療法などの治療を行った.術後16日目の造影CTでは膵頭部の造影不領域が増大し,右後腹膜膿瘍も増大した.十二指腸の壁構造は消失し,十二指腸壁の壊死と考えられた.術後18日目に膵頭十二指腸切除術(PD)を行った.手術では十二指腸は広範に壊死に陥り,後腹膜膿瘍を形成していた.術後は縫合不全など大きな合併症はなく,PD術後101日に退院した.

著者関連情報
© 2012 日本膵臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top