膵臓
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特集 IPMN国際診療ガイドライン2012の解説と残された課題
病理の立場から
清水 道生
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2013 年 28 巻 2 号 p. 141-147

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抄録

IPMNから発生する浸潤癌では,粘液癌や管状腺癌がみられるが,通常,粘液癌は管状腺癌よりも予後が良好であるため,IPMN症例で浸潤癌を認めた場合には,その組織型を病理報告書に記載することが大切である.IPMN由来微小浸潤癌の病理組織学的定義は現時点では明確なものがなく,今後は実測値での表記が必要であろう.IPMNの亜分類では,胃型が最も予後がよく,胆膵型が最も予後不良である.今後は術前の膵液の細胞診などを含め,亜型診断を行い,術前の治療方針に利用すべきであろう.また,IPMNの切除術における術中迅速組織診断では,膵断端の異型度の評価が重要で,高度異型あるいは浸潤癌が認められた場合には,追加切除を行うべきである.分枝型のIPMN(BD-IPMN)と主膵管型のIPMN(MD-IPMN)の鑑別のための切除標本の取り扱いでは,主膵管を可能な限り正確に同定することが最も重要である.また,IPMN由来膵癌とIPMN併存膵癌の定義にも熟知しておく必要がある.

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© 2013 日本膵臓学会
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