2014 年 29 巻 6 号 p. 873-877
膵癌は現在においても最も予後不良な癌であり,その克服は21世紀に残された課題である.近年,術後補助化学療法の進歩により治療成績の改善が図られつつあるが,切除企図膵癌を母数とすると切除が行われ,術後補助化学療法が開始される症例は,約半数である.術前治療はこの切除企図膵癌に対して行われる治療であり,術前治療の有効性を明らかにするためには,切除企図膵癌に対する切除先行群の治療成績もIntention-To-Treat解析により行い比較しなければならない.このように術前治療は膵癌全体の治療成績向上に寄与する可能性がある.現在進行中の切除可能膵癌の術前治療の有効性・安全性に対する臨床試験の結果により,切除可能膵癌に対する術前治療が標準治療になるかが明らかになるものと思われる.