膵臓
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症例報告
初回手術21年後に肝転移・局所再発を来した膵Solid pseudopapillary neoplasmの1切除例
濱田 剛臣今村 直哉土持 有貴矢野 公一旭吉 雅秀大内田 次郎藤井 義郎春山 幸洋片岡 寛章七島 篤志
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2016 年 31 巻 4 号 p. 662-669

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抄録

膵Solid pseudopapillary neoplasm(SPN)の初回膵切除から21年目に局所再発および肝転移を来し,再切除を行った1例を経験したので報告する.61歳の女性.1993年に膵腫瘍に対し,脾温存尾側膵切除術を受けた.5年間の経過観察中は無再発であり,以後は経過観察されていなかった.2014年,健康診断で肝内に腫瘍を指摘され,造影CTで残膵体部の腫瘍と多発する肝腫瘍を認め,当科紹介となった.残膵の腫瘍は画像診断では嚢胞成分と充実成分が混在していた.肝腫瘍の針生検の結果,膵SPNの肝転移と診断し,残膵体部切除術,肝部分切除術を施行した.21年前の膵腫瘍と今回の腫瘍は病理組織学的に類似し,免疫染色の結果も同様であったため,膵SPNの残膵局所再発および肝転移と診断された.免疫染色のCD99染色が膵SPN再発・転移の鑑別に有用であった.治療切除後の膵SPNは予後良好な腫瘍であるが,術後長期間経過しても今回の様に再発例を認めるため,長期間の経過観察が必要と考えられる.

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© 2016 日本膵臓学会
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