膵臓
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症例報告
ダンベル状の形態を呈し,分枝型IPMNを疑った嚢胞性膵神経内分泌腫瘍の1例
水本 拓也外山 博近浅利 貞毅後藤 直大寺井 祥雄石田 潤木戸 正浩味木 徹夫福本 巧全 陽具 英成
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キーワード: 膵神経内分泌腫瘍, 嚢胞
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2016 年 31 巻 4 号 p. 670-678

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抄録

63歳,男性.他院にて以前より膵体部に11mm大の嚢胞性病変を指摘されており,経過観察となっていた.2014年6月病変の増大を認めたため精査加療目的に当院紹介となった.当院で施行した造影CTでは膵体部に新たに13mm大の嚢胞性病変が出現しており,以前より指摘されていた嚢胞との間には造影効果を有する充実成分が介在していた.ERCPにて嚢胞性病変と主膵管に交通は確認できなかったが,膵管擦過細胞診ではIPMNの所見として矛盾しないと判断され,分枝型IPMNの術前診断で腹腔鏡下脾温存膵体尾部切除を施行した.切除標本では結節を伴う多房性嚢胞を認め,免疫染色を含む病理組織所見で膵神経内分泌腫瘍と診断された.嚢胞成分は腫瘍の嚢胞変性と考えられたが,一部では嚢胞内面を膵管上皮が覆い,腫瘍増生に伴った膵管拡張が疑われた.非典型的な画像所見を呈し診断に難渋した膵神経内分泌腫瘍の1例を経験したので報告する.

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© 2016 日本膵臓学会
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