膵臓
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症例報告
閉塞性黄疸を来たし切除を要した膵漿液性嚢胞腺腫の1例
大原 忠敬藤野 泰宏山下 博成杉山 宏和柿木 啓太郎千堂 宏義富永 正寛津村 英隆三木 生也梶本 和義
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キーワード: , 漿液性嚢胞腺腫, 黄疸, 手術
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2016 年 31 巻 5 号 p. 746-753

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抄録

漿液性嚢胞腺腫(serous cystadenoma,以下SCN)は基本的には良性疾患であり経過観察される.今回我々は閉塞性黄疸を来たし切除を要したSCNの1例を経験した.症例は58歳,女性.膵頭部に嚢胞性腫瘤を指摘され,精査の結果SCNと診断しフォローアップしていたが,経過中に閉塞性黄疸が出現した.嚢胞の増大により下部胆管の圧排が増悪し閉塞性黄疸を発症したものと考えられ,内視鏡的胆管ドレナージにより減黄を図った後に亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.腫瘤は径3.8×3.4×3.0cmの漿液性多房性嚢胞で,充実成分を認めなかった.病理組織検査では下部胆管への圧排を認めるものの浸潤は明らかではなく,嚢胞内腔を裏打ちする上皮細胞の異型度は軽度でありSCN(macrocystic dominant type)と診断された.有症状のSCN症例は手術適応と考えられ,文献的考察を加えて報告する.

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© 2016 日本膵臓学会
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