膵臓
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特集 膵癌取扱い規約第7版の解説と主な変更点
5.組織学的治療効果判定について
内田 克典眞杉 洋平
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2016 年 31 巻 6 号 p. 812-817

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抄録

膵癌取扱い規約第7版において術前治療に対する組織学的効果判定基準が新たに定められた.多くの癌取扱い規約で定められている残存腫瘍細胞に対する評価に主眼をおいた評価基準とは一線を画す判定基準で,従来の残存腫瘍細胞そのものの所見に加え,治療に伴う腫瘍消失に対する宿主の反応,すなわち間質も評価の対象としている.残存腫瘍細胞の形態や間質の変化から,術前に存在していたと推定される腫瘍量を評価し,生存し得る癌細胞の割合により術前治療の組織学的効果を判定する.予後因子として,治療効果判定の臨床的意義が報告され始めているが,未だエビデンスは十分とは言い難い.これを機に,臨床的意義についてのエビデンスが蓄積されることを期待する.

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© 2016 日本膵臓学会
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