膵臓
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特集 膵癌の早期診断最前線
6.膵上皮内癌の診断
南 智之花田 敬士平野 巨通岡崎 彰仁池本 珠莉福原 基允
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2017 年 32 巻 1 号 p. 50-55

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抄録

膵癌の予後は不良であるが,膵上皮内癌の段階で診断できれば,予後は良好である.我々は膵癌早期診断を目指した地域連携プロジェクトを展開している.その結果,2007年1月から2015年12月の期間において膵上皮内癌を17例診断し得た.これらの臨床的特徴について検討を行った.男女比は10:7,部位は頭部4例,体部13例.MRCPでは17例全例で主膵管の限局的狭窄または分枝膵管拡張を認めた.EUSでは,16例で主膵管狭窄を認め,そのうち8例で狭窄周囲低エコー,3例で低エコー腫瘤を認めた.20mmの腫瘤を認めた1例でEUS-FNAを施行したが陰性であった.ERCPは全例で施行し,全例で膵液を採取,13例はENPD留置下複数回膵液細胞診(SPACE)を行い膵液を採取した.膵液細胞診全体の感度は76.5%,SPACEでは84.6%と良好な成績であった.膵上皮内癌の診断にはMRCPおよびEUSでの主膵管狭窄や分枝膵管拡張,狭窄周囲低エコーに着目し,SPACEを行うことが必要である.

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© 2017 日本膵臓学会
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