膵臓
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特集 膵癌の早期診断最前線
5.膵液細胞診によるIPMN併存膵癌の早期診断
大塚 隆生宮坂 義浩森 泰寿仲田 興平小田 義直中村 雅史
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2017 年 32 巻 1 号 p. 45-49

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抄録

我々の施設では他の画像診断法では捉えられないIPMN併存膵上皮内癌はERCP下膵液細胞診でのみ診断可能であると考え,IPMN患者に対して積極的にERCP下膵液細胞診を行っている.実際,これまで経験したIPMN併存膵上皮内癌9例のうち4例をERCPのみで診断した.またworrisome featuresを持つIPMNの中から悪性IPMNを拾い上げるのにもERCP下膵液細胞診が有用である(感度100%,特異度92%).局在がわからないIPMN併存膵上皮内癌の同定には術中残膵洗浄細胞診が有用であるが,洗浄液漏出による術後播種再発や,洗浄細胞診偽陰性の可能性が課題として残る.最近では膵癌を合併しやすいIPMNの特徴としてMUC2陰性,野生型GNASなどが指摘されており,これらを膵癌発症高危険群として重点的にERCP下膵液細胞診を行うことで,膵癌を効率よく早期に診断することができる可能性がある.

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© 2017 日本膵臓学会
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