膵臓
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症例報告
分枝型膵管内乳頭粘液性腫瘍に合併した自己免疫性膵炎の一切除例
岐部 晋西原 一善渡邉 雄介新名 雄介柿原 大輔田宮 貞史阿部 篤中野 徹豊島 里志
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2017 年 32 巻 1 号 p. 87-92

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抄録

65歳男性.腹部膨満感を主訴に近医受診,膵腫瘍を指摘され,精査加療目的に当院紹介受診となった.腹部造影CT,MRIで膵体部に主膵管と連続する3cmの多房性嚢胞性腫瘤を認めた.超音波内視鏡検査では,膵体部に27×24mmの境界明瞭な低エコー腫瘤を認め,一部壁在結節が疑われた.膵液細胞診では,細胞質に粘液を含む異型の乏しい腺細胞を認めた.以上より,膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)由来浸潤癌を疑い膵体尾部切除術を施行した.肉眼所見では,主膵管と連続した分枝膵管の拡張と周囲に白色充実性腫瘤を認めた.病理組織学的には,拡張した分枝膵管上皮はlow-grade dysplasia相当の乳頭状隆起で,周囲に形質細胞を中心とした高度の慢性炎症細胞の浸潤と線維化を認めた.閉塞性静脈炎も伴い,免疫染色ではIgG4/IgG比は67.9%であった.分枝型IPMNに合併した自己免疫性膵炎の組織診断となった.

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© 2017 日本膵臓学会
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