2017 年 32 巻 4 号 p. 693-698
膵外分泌機能不全に対する酵素療法は,食物の消化に不足している酵素を補充するという極めて単純なコンセプトにもかかわらず,酵素薬自体の力価の問題や,胃での失活,食事との混和不全など,補充された酵素が食物を消化するのに必要な条件が整えられるまでにこれまで様々な検討が行われてきた.近年,大量酵素補充療法や高力価酵素補充療法などの有用性について多くの臨床エビデンスが集積され,酵素療法は適応となる患者のQOL向上に寄与する治療としてコンセンサスが得られている.しかし服薬方法や投与すべき患者選択の誤りのために,期待される効果が得られない場合も報告されており注意が必要である.