膵臓
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症例報告
2次化学療法が奏効し病理学的完全奏効が得られた膵頭部癌,同時性多発肝転移の1切除例
高橋 大五郎後藤田 直人大久保 悟志杉本 元一小林 信高橋 進一郎小嶋 基寛橋本 裕輔小西 大
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2017 年 32 巻 4 号 p. 775-781

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抄録

症例は40歳代の女性.黄疸を契機に当院を紹介受診した.精査にて,膵頭部癌,多発肝転移と診断,mFOLFIRINOX療法を行った.16コース施行後に原発病変,肝内病変ともに増大し,gemcitabine(GEM)+nab-paclitaxel(nab-PTX)療法に変更した.原発,肝転移病変とも縮小し,約1年間投与し治療効果PRは維持され,肝内病変の1か所が指摘できるのみとなった.そこで,審査腹腔鏡検査にて,P0,CY0を確認し,肝内病変を腹腔鏡下に切除したところ,病理学的完全奏効(pCR)であった.根治切除を目指し亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行,術後合併症なく第14病日に軽快退院した.原発病変の病理組織学的所見もpCRであった.術後12か月現在,無再発,外来通院経過観察中である.

今回,我々は膵頭部癌,同時性多発肝転移に対しpCRが得られた1例を経験したので報告する.

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© 2017 日本膵臓学会
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