2017 年 32 巻 6 号 p. 873-881
【背景】膵癌手術症例では術式が広範囲に及び,術後侵襲,膵外分泌機能の低下,胃・消化管機能の低下などによる栄養不良は患者のQOL低下に影響する可能性がある.【目的】術後膵癌患者の栄養状態とQOLの関連を経時的に明らかにし,QOLの改善を栄養的側面から検討する.【方法】登録患者164例のうち術前/術後3ヶ月/6ヶ月のCONUTによる栄養評価および健康関連QOL尺度SF-36v2によるQOL評価を完了した65例を解析対象とし,栄養状態とQOLの関連を統計学的に検討した.【結果】膵癌患者は術前から栄養不良傾向を認め,術後3ヶ月では全体的に低下した.特にPD,TP群は術後6ヶ月でも改善しなかった.栄養不良は,QOLのうち「身体機能」「日常生活役割機能(身体)」「社会生活機能」の低下と関連した.【結論】栄養障害は患者のQOLの低下に影響する.術後6ヶ月時点での栄養障害の改善がQOL向上の鍵となりうる.