膵臓
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症例報告
術後20年目に再発した主膵管内進展を伴う腎細胞癌膵転移の1切除例
山田 学大島 稔馮 東萍竹谷 洋須藤 広誠岡野 圭一鈴木 康之
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2017 年 32 巻 6 号 p. 897-903

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抄録

症例は71歳男性であり,20年前に左腎細胞癌に対し左腎摘出術が施行された.今回,肉眼的血尿を認め近医を受診し,造影CTで膵腫瘤を指摘された.EUS-FNAによる病理組織検査から淡明細胞型腎癌の転移と診断され,分子標的療法が開始されたが副作用が出現したため,外科的切除目的で当科紹介となった.Dynamic CTで膵頭部に40mm大の早期濃染する腫瘤を認め,さらに尾側への主膵管内進展が疑われた.転移性膵腫瘍は上腸間膜静脈に浸潤しており,画像所見から上腸間膜静脈内腫瘍栓も指摘された.また,画像所見から肝S5に肝転移を認めた.以上より腎細胞癌術後の転移性膵頭部腫瘍および肝転移と診断し,上腸間膜静脈合併切除を伴った亜全胃温存膵頭十二指腸切除術および肝部分切除術を施行した.術中超音波検査で腫瘍の主膵管内進展範囲を評価し,その尾側で膵体部を切離した.主膵管内進展を伴った腎癌膵転移はまれであり,報告する.

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© 2017 日本膵臓学会
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