2018 年 33 巻 4 号 p. 730-736
急性膵炎の重症化をきたす原因,言い換えると軽症例と重症例,あるいは浮腫性膵炎と壊死性膵炎を区別している調節因子が何なのか,いまだ明確になっていないのが現状である.その調節因子を理解し,制御することができれば,致命率の高い壊死性重症膵炎を食い止めることができるのではないだろうか.急性膵炎の病態において,膵組織あるいは肺や肝腎など全身臓器を障害する主体は,局所に浸潤した炎症細胞であると考えられる.ケモカインは炎症細胞を遊走・活性化させる作用を持つため,急性膵炎の病態とケモカインは切っても切れない関係にある.急性膵炎の病態,特にその発症と重症化のフェーズにそれぞれ寄与するケモカインの役割が徐々に明らかになってきた.特に急性膵炎の重症化に寄与するケモカインCXCL16やその下流因子が,これから急性膵炎の治療標的となる可能性に期待が持たれる.