2018 年 33 巻 4 号 p. 776-783
症例は70歳,女性.糖尿病の悪化を契機に膵頭部腫瘍を指摘されたが,上腸間膜動脈(superior mesenteric artery:SMA)に180°以上の接触・浸潤を伴う局所進行切除不能膵癌の診断となった.ゲムシタビン塩酸塩(gemcitabine:GEM)とパクリタキセルアルブミン懸濁型(nab-Paclitaxel:nab-PTX)の併用療法(GEM+nab-PTX療法)を導入したところ,良好な腫瘍縮小効果が得られ,SMAとの接触・浸潤が180°以下となったため,外科的切除が施行された.摘出病理では薬物・放射線治療後の組織学的効果判定基準はGrade 2(Moderate response)であり,SMAの剥離面には明らかな癌浸潤は観察されず,R0手術となった.術後2年(診断確定後2年11か月)の時点で無再発生存中である.局所進行切除不能膵癌の患者にGEM+nab-PTX療法を導入し,R0切除に至った症例を経験したので,文献的考察を加え報告する.