2019 年 34 巻 4 号 p. 125-127
膵臓の切離・再建に伴う合併症は外科手技,手術機器が進歩した現在でも難治であり,膵切除術後合併症を如何に逓減,根絶するかは現代の膵臓外科医にとって最も重要なテーマである.膵切除術の合併症のなかで,最も難治なのは膵液瘻(pancreatic fistula)で,2005年BassiらInternational Study Group on Pancreatic Fistula Definition(ISGPF)がpostoperative pancreatic fistula(POPF)の定義を提唱し,手術成績評価の標準化が進んだ.本邦では学会・研究会を母体とした多施設共同研究,National Clinical Database(NCD)登録データを用いたコホート研究が行われるようになってきたが,膵液瘻をはじめとした膵切除術の合併症は,未だ解決されていない今日的な課題であり続けている.