膵臓
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特集 膵疾患(膵癌)(慢性膵炎を含む)のサポーティブ・ケア
急性膵炎,慢性膵炎に対する栄養管理の重要性と管理栄養士の役割
石井 有理坂田 章清水 京子竹山 宜典
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2020 年 35 巻 2 号 p. 174-179

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抄録

膵炎では病態により脂質摂取量が異なるため,患者のQOLの改善には適切な栄養指導が必要である.症例は30歳代女性.薬剤性膵炎の経過中に脂質制限の食事療法が必要となり,栄養指導の介入となった.医師より脂質20gの制限食を指示され,食材の脂質含有量と調理法,献立例を提示した栄養指導を行ったが,患者の申し出と医師の継続不要との指示により,初回のみで終了となった.その後,医師より脂質の増量を許可されたが,患者自身が腹部症状の再燃を懸念して増量せず,脂質制限食を継続していたところ,体重減少と勤務形態に支障を来すほどの体力の低下を認め,再度栄養指導を開始した.医師と連携し,毎月,管理栄養士が栄養摂取量の評価を行い脂質,たんぱく質,エネルギー量を増量したところ,元の勤務形態に復帰できた.膵炎患者の栄養状態とQOLの改善には,管理栄養士が医師と連携し,定期的なきめ細かい栄養指導を積極的に行うべきと考える.

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© 2020 日本膵臓学会
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