2021 年 36 巻 6 号 p. 366-376
症例は57歳男性.検診で膵体部の嚢胞性病変が指摘され,当院を紹介された.造影CTでは膵体部に17mm大の中心部に嚢胞成分を伴う充実性腫瘤が認められた.3年後の造影CTでは,嚢胞成分を伴いながら23mm大に腫瘍径が増大し,MRIでは中心部の嚢胞成分はT1WI,T2WIともに高信号を示し,辺縁は拡散低下を伴う充実成分として観察された.超音波内視鏡検査でも同様に,中心に嚢胞成分を伴う充実性腫瘤として観察された.膵体尾部切除が施行され,病理学的にmixed acinar-neuroendocrine carcinoma(MAcNEC)と診断された.腫瘍中央の嚢胞成分は壊死によるものが疑われ,その周囲にsynaptophysin陽性の領域が,更にその周囲にBCL10,trypsin陽性の領域が分かれて確認された.本症例はMAcNECの発生様式を考察する上で示唆に富む症例であり,文献的考察を加え報告する.