2023 年 38 巻 6 号 p. 390-398
膵NENに対する薬物療法は,神経内分泌腫瘍(NET)と神経内分泌癌(NEC)で治療方針が異なる.また,膵NETに対しては,ホルモン症状コントロールと腫瘍制御で治療目的が異なる.ホルモン症状コントロール目的には,ソマトスタチンアナログが主に用いられ,腫瘍制御目的には,ソマトスタチンアナログや分子標的薬,細胞障害性抗癌剤が主に用いられる.これらの薬剤をどのように使い分けるかも重要であり,膵NETに対する治療選択MAPはその一助となる.また,放射性核種標識ペプチド治療も使用可能な状況であり,どのタイミングでこの治療を導入するかも重要な課題である.膵NECに対してはプラチナベースの化学療法が標準治療に位置づけられている.膵NENに対しては,様々な治療が使用可能な状況であり,これらの治療をうまく活用した集学的治療が求められている.