膵臓
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特集 膵癌早期診断のパラダイムシフト
膵癌早期診断におけるUS,EUSの役割
江守 智哉北野 雅之蘆田 玲子
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2024 年 39 巻 4 号 p. 238-246

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抄録

USは初診時の低侵襲的な検査であり,早期診断が可能であった膵癌の多くはUSが診断契機となっており,病診連携においても重要なモダリティであるため,膵癌診療ガイドラインでもスクリーニング検査として推奨されている.EUSは小病変の存在診断に有用とされており,他の画像診断で膵嚢胞や主膵管狭窄・拡張,膵実質の萎縮などの間接所見が認められた場合には特にEUSでの精査が勧められる.最近の技術革新に伴い,造影による血流評価が行えるようになり,質的診断能が向上した.EUS-FNA/FNBでは,穿刺針や組織採取法の開発により組織診断の精度は向上しているが,腫瘍径10mm未満の小病変に関する偽陰性の問題点がある.またEUS-FNA/FNB後のneedle tract seeding(NTS)が偶発症として注目されており,経胃的EUS-FNA/FNBの際にはNTSの発生を考慮した経過観察を行うことが肝要である.

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© 2024 日本膵臓学会
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