日本海水学会誌
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明神海丘カルデラにおけるマンガンと鉄の挙動
榎田 和彦佐藤 義夫成田 尚史加藤 義久
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キーワード: 熱水活動, 海水, 粒子, マンガン,
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2009 年 63 巻 1 号 p. 29-38

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抄録
熱水の移動・循環の指標であるマンガンと鉄の挙動を明らかにするため,明神海丘カルデラの東部(H3)と西部(H2),伊豆小笠原海溝のH1および四国海盆のH4から2004年の4月に海水および懸濁粒子を集め,マンガン,鉄およびリンについて分析を行った.その結果,明神海丘カルデラの水深1,000m以深における溶存態MnおよびFeの極大層における濃度は,それぞれ70~100nmol L-1および2.6~8.0nmol L-1と非常に高いことがわかった.溶存態MnおよびFe濃度は,H3に比べてH2で高く,その濃度比(Fe/Mn)も後者が高かった.H2およびH3への熱水の影響には,差があることが推察された.また,懸濁態MnおよびFe濃度は,熱水の影響が考えられる水深1,000m以深で高いことがわかった.懸濁態Fe濃度に占める酸化物態Fe濃度の割合はH3で高い.このことから,熱水活動により供給された二価Feが水和酸化物から酸化物へ変化し除去される過程が推察された.
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© 2009 日本海水学会
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