日本海水学会誌
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キトサン / 銀ハイドロゲル膜の創製と抗菌特性に及ぼす膜作製方法の影響
高橋 智輝山口 雄也澤井 淳小林 大祐庄野 厚松山 秀人大竹 勝人
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2014 年 68 巻 2 号 p. 81-88

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抄録

海水淡水化の前処理に用いられる分離膜において,バイオファウリングによる膜性能の劣化は深刻な問題である.本研究では,分離膜の抗菌活性を強化することを目的とし,無機系抗菌剤である銀を含有したキトサン/銀ハイドロゲル膜を浸漬法と混合法の2つの膜作製方法により創製した.膜の諸特性,透水性能,並びに抗菌特性に及ぼす膜作製方法の影響について検討を行った.フーリエ変換赤外分光法,X線回折法,熱重量分析を用いて膜の構造解析を行った結果,浸漬法調製膜では銀イオン(Ag (I))として,混合法で調製した膜では金属銀粒子(Ag (0))として存在していることが明らかとなった.また,膜含水率は銀含有率の増加に伴い低下し,水透過流束は含水率の増加に伴い増加した.一方,コンダクタンス法を用いてゲル膜の抗菌活性を評価した結果,浸漬法と混合法の2つの方法で作製したゲル膜は,何れも大腸菌及び黄色ブドウ球菌に対して顕著な増殖抑制効果を示した.また,粒子として銀が含有された混合法調製膜と比べて,銀イオンとして含有されている浸漬法調製膜が強い抗菌活性を示した.

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© 2014 日本海水学会
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