福島第一原発港湾内の海水に含まれる放射性ストロンチウムを除去するため,2種類のチタン酸ナトリウム(ST)担持繊維を作製した.一つは6-ナイロン繊維にスチレンスルホン酸ナトリウムをグラフト重合して得られたカチオン交換繊維にSTを担持した繊維(SSS-ST繊維)である.もう一つは6-ナイロン繊維にジメチルアミノエチルメタクリレートをグラフト重合して得られたアニオン交換繊維にSTを担持した繊維(DMAEMA-ST繊維)である.海水からのストロンチウム除去を回分法によって評価し,市販のチタン酸ナトリウム粒子(SrTreat)に比べて,作製した2種類のST担持繊維は吸着速度が大きいことを示した.ST担持繊維に対する海水の重量比が100のとき,SSS-ST繊維およびDMAEMA-ST繊維の海水中でのストロンチウム除去率は,それぞれ86および83 %であった.担持の経路でのアルカリ条件下での耐性を考慮すると,SSS-ST繊維の方が大量製造に適していることを示した.